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時間外労働手当はタイムカードの打刻時刻どおりに払わなければならないでしょうか。

1.労働時間の把握義務

労働基準法には使用者による労働時間の把握義務について明確な規定はありませんが、労働時間、休日、深夜業等について規定が設けられているので、使用者が労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかであると解されています(「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平29.1.20 基発0120第3号)、以下ガイドライン )。

このガイドラインにより、①使用者が、自ら現認することにより確認し、記録する方法 、または、② タイムカード、 ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録する方法のいずれかにより、使用者は、労働者の労働 日ごとの始業・終業時刻を把握し管理することを使用者が行うべきであると厚生労働省は指導しており、自己申告制は不適正な運用による割増賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題を招く可能性があるので、前述の二つの方法によることが難しい場合にやむを得ず行う措置とされています。

 

2タイムカー打刻の意味

ところで、時間外労働に対する賃金は、使用者 (管理者)が明示または黙示による時間外労働を命じた場合に、労働者が使用者 (管理者)の指揮命令下において、命じられたとおり時間外労働を行ったときにのみ支払われるべきものと解されています。タイムカードを労働者に打刻させている場合 に、はたしてその打刻時刻どおりに実際に労働者が時間外労働 を行っていたと認められるか、言い換えれば、使用者による明示または黙示による時 間外労働の指示があり、労働者が使用者の指揮命令 において、命じられたとおり時間外労働 を ったか否かが争いになることがあります。

タイムカードの意味 については、三好屋事件 (東京地裁  昭63.527判決)で、「一般に使用者が従業員にタイム・カードを打刻させるのは出退勤をこれによって確認することにあると考えられるから、その打刻時間が所定の労働時間の始業もしくは終業時刻よりも早か ったり遅かったとしてもそれが直ちに管理者の指揮命令のもとにあった と事実上の推定 をすることはで きない」 と示 されているように 、労働時間を記録するものではな く、勤 怠管理のための記録にす ぎないと考えられています。

したがって、タイムカードの記録時刻によって時間外労働時間数を認定できるといえるためには、「使用者がタイム・カードで従業員の労働時間を管理していた等の特別の事情の存す ることが必要であると考 えられる」 (前掲三好屋事件)とされています。

 

3打刻時刻を労働時間と認定する裁判例

例えば、三晃印刷事件 (東京地裁  平 9.3.13判決)では、会社作成の個人別出勤表の労働時間がタイムカードの記録を基に記載されていることなど、タイムカードの記録により従業員の労働時間を把握していたという事実からすると、タイムカードを打刻すべき時刻に関して労使間で特段の取り決めのない本件においては、タイムカードの記録を労働時間として認定するとしています。

また、「タイムカードの打刻時間はバリエーションに富んでいて、少なくともこの時間まで原告が被告A通 り店に居たことを表して」おり、「打刻時間前後までは被告店舗における指揮命令下の拘束時間に原告があったことをある程度推認することができる」(松屋フーズ事件  東京地裁 平17.12.28 決 )として、タイムカードの記載に従って労働時間を推認 した裁判例もあります。

 

4労働時間管理方法の明示と実行

1で述べたような自己申告制の不適正な運用による問題を避けるためにも、タイムカードによる客観的な労働時間管理に移行するということは望ましいことですが、いわゆる「ダラダラ残業」による時間外労働手当の増大を招くおそれもあります。

タイムカードの打刻時刻が労働時間であると認定されるか否かについては、実際にどのような労働時間管理が行われていたかによるということが言えます。そこで、タイムカードを労働時間管理の方法とした場合でも、漫然と在社している時間を時間外労働とは認めず 、必要な時間外労働だけを認めるためには 、労働時間の管理とその認定方法を明らかにしておく必要があります。例えば、時間外労働を行う場合は、原則として事前に管理者に文書で申請をするなどの労働時間管理方法を明らかにし、タイムカードの打刻時刻が無条件に労働時間と認められるのではなく、管理者の指揮命令下において、命じられたとおり時間外労働を行ったときにのみ時間外労働を認めるとする労働時間管理を確立し、そ のことを就業規則に明記 して、 実に実行することが求め られます。

 

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべきガイドラインについて

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